2025-09-06 07:00 am by 須坂新聞
須坂市のふるさと納税返礼品の産地偽装問題で、市が設置した弁護士による第三者委員会は8月29日、報告書を三木正夫市長に提出した。市には地場産品基準の順守状況を調査・確認する体制がなく、リスク管理に対する意識の欠如があった—と指摘。市職員の一部と返礼品取扱事業者社長らが定期的に会食を行うなど「通常以上の関係性があった」とも言及した。
柳澤修嗣委員長、倉?哲矢委員、中嶋慎治委員の3人が市役所で記者会見し、報告書の概要を公表した。
概要や第三者委の説明によると、市産以外のシャインマスカットが混在した直接的な原因は、返礼品を取り扱っていた日本グルメ市場(和歌山県有田市)が「組織的に黙認して出荷を続けてきたこと」と断定。
一方、こうした状況を許してきた市の業務体制の不備やリスク管理に対する意識の欠如の背景として、「寄付額が急増する中でそれに見合う人員や管理の体制構築への検討が不十分なまま業務の遂行が継続されていたと考えられる」と指摘。理事者や上司が関係法令の内容を熟知せず、長年業務に携わる担当職員の判断や提案を受け入れることが多くあった点なども挙げた。
昨年12月、市長らが市外産品の在を把握しながら、農林水産省が調査中だったことなどを理由に、総務省の通知にのっとった実地調査を行わなかった点については「実地調査以外あり得ず、農水省が調査をしていることなどは市が対応しない理由にはまったくならない」と指摘。「『待ち』の判断は極めて不適切だった」と断じ、総務省が下した指定取り消し処分を「決定的にするものでもあった」とした。
市の一連の対応の背景にも言及した。市ふるさと納税推進係に所属していた職員の一部と同社社長らとの会食が定期的に行われ、その費用を同社が負担することも少なからずあったという。他にも、同社から同係に梅干しパックや果物、ジュースなどが差し入れされていた。
市には、公務員が職務を遂行する際に守るべき倫理的な行動基準を定めた規則「職員倫理規定」はないが、国家公務員倫理規程を参考にすると、「適切ではなかった」と説明。両者の間には「通常以上の関係性があった」とし、「市の一連の対応に影響したとも感じている」とした。
再発防止に向け、「職員倫理規程を設けるなどして職員の意識改革を図ることも検討すべき」と提言した。
柳澤委員長は、問題の一因として「市、あるいは市職員とグルメ社との関係性にも問題があったと考えている」と報告。三木市長は「しっかり報告書を受け止めて対応していきたい」と述べた。
第三者委は、市や同社の関係者ら10人から聞き取り調査などを行い、約3カ月をかけて報告書をまとめた。
市は9月17日に記者会見を開く予定。(関連記事9月6日付須坂新聞3面に)
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